Vルート2017 タイムアタック編
- 森
- 2017年9月29日
- 読了時間: 11分
こんにちは なんか引退したはずなのに定期的にブログ書かされてる森です。
今回は愛媛大学サイクリング部主催、Vルートのレポートです。
細かい説明はこっちの記事を読んでください(マルナゲー
今回かなり長いです。いわゆる自己満足です。
個人的にVルートは一回生の頃から毎回参加しているので、4回生の今年で4回目。参加したすべての回で1位でゴールしてます。普通ならもう満足なはず・・・。それなのになぜ今回参加を決意したか。それはタイムです。
とりあえず、それぞれ見ていくと
1回生 16時間
2回生 17時間
3回生 16時間30分
正確には数分のずれはありますが、おおよそこんな感じ。 見ればわかりますが一回生のタイムが一番早いのです。2,3回生はそもそも走り方(一位をとるためだけの走り)の違いや環境の違いなどもあります。しかし、この一回生のときの16時間というタイム、実は当日の朝4時に高松から松山まで自走してとったタイムなのです。つまり、超なめプ状態でとったタイムなのです。(当時はもちろんそんなつもりはありませんでしたが、今思うと……) とにかく、状況の違いもありますが、超なめてかかったやつにこれまで勝てなかったわけです。これは納得できません。
今回も参加を決意した理由は正に「過去の自分に圧倒的な差をつけて勝つため」。ちょっと勝っただけではダメなんです。何せ相手は当日自走してくるくらい余裕ぶっこいてるのですから。 今回は相手を徹底的に叩きのめすためにこれまでの知識、経験を総動員して本気で走ることにしました。

そして向かえた当日。参加人数はサポートを含めて30名以上。歴代最高なのではないでしょうか。 スタートは9月23日21時5分。縦一列になってスタートします。とりあえず、先頭付近の様子を把握したいため、前の方に並びます。この並び順が今後の運命を決めることになろうとは……。
スタート直後、先頭の愛媛大学のこーじくんが飛び出します。多少オーバーペースでしたが、市街地での集団の分離、三坂峠を余裕をもって登るのことが目的の模様。この目論見は成功したどころか今後の運命すらも左右しました。数行前に似たような事書きましたが、フラグ立てから回収が早いだけです。 三坂峠突入時点で先頭集団の人数が8名。例年ではこのとき誰かが仕掛けてきて、「レース」が始まるのですが、今年は違う様子。昨年の惨劇を経験して目が覚めたのか、集団全員がゆっくり登る方針に。ワイワイ談笑しながら進んでいきます。
何事もなく頂上へ。後方との差は10分程度。
いくらタイムを狙うと言っても360km、一人で巡行速度をあげるよりも集団で休憩しながら走った方が体力消耗もなく、速く進めます。高知駅まではこの集団で行くことに。そして、4回生でかつ3年連続覇者という事で集団の主導権を持つことができました。ここから「管理された」Vルートが始まるのです。
こっからは説明タイムなので興味ない方は飛ばしてください。
この集団において指示した事柄は2つ
1. 先頭交代はおおよそ1kmごと
疲れる前に休憩という原則です。疲れてしまったあとに交代しては集団内での回復は絶望的です。常に体力に余裕がある状態を維持し、パフォーマンスも維持させます。
2. 登りはゆっくり登れ。
とばしたければ平坦と下りで。 下りでとばせと言われると危険だといわれますが、Vルートのコースにおける下りはほとんど緩やかなものです。登りで踏んでも2,3km/h程度変わればいいほうですが、下りでは普通に5〜10km/h変わってきます。なおかつ、登りではドラフティングの効果がなく、集団全員が消耗しますが、下りや平坦では消耗は先頭のみであとで最後尾に戻って休めます。これまでのサバイバルレースでは集団を引きちぎることが期待されましたが、今回はそうはいきません。
他に意識したこととしては
3. 集団の人数の維持を優先
1km交代なので一回のローテーションでだいたい (人数ー1)×2 分休めます。短距離のゆるぽたなら1人の増減は気になりませんが、今回は360km。一人減るだけで先頭を引く時間が大幅に増えてしまいます。当たり前のことですが、サバイバルレースの印象が強かった昨年まではなかった概念です。(少なくとも先頭付近では)千切れたら千切れたやつが悪いで放置でした。

本筋にもどります。
とりあえず、三坂峠をともに登った8名で33号線の緩やかな下りを走っていきます。ひたすら高知駅までこのままです。昼間に行くと自然豊かな地域ですが、夜なので街灯すらほとんどありません。あまりの何も無さに経験のない人は一人でいくにはトラウマものです。今さらそのような集団ではないですが。 登りはゆっくりと言っても下りはハイペース。さすがに集団内に疲労してきたメンバーが。遅れたとき、一息休憩がてらペースダウンを指示しましたが、やはり限界が。スタートから約80km地点、後方にも集団はいるため、2人を後方の集団に任せることに。ここで先頭集団は全員で6名に。比較的体力のあるメンバーなので少しペースアップ。
完全なるダメージコントロールにより、先頭6名はかなり元気な状態。そこで、高知駅での休憩を20分にし、共に行かないかと提案。もとの計画では高知駅では休憩なしで、そのまま香川へ向かう予定でしたが、20分待っても集団の方が後々有利です。元気な皆さんは快諾してくれました。

高知駅に到着。
例年並の到着時刻ですが、疲れはほとんどなし。あらかじめ話した通りに20分で出発します。 こちらが到着してから10分後、第2集団が到着。三坂峠のタイム差がそのくらいなのでつかず離れずの状態。後ろの方が人数も多いのもあり、想定通り。
高知駅を出発。
後ろとのタイム差は想定通りでしたが、ここを出発した時点でメンバーがいることはいい意味で想定外でした。とりあえず香川までは安泰です。はじめの峠をこれまたゆっくり登っていくのですが、これまた強い向かい風が。下手に飛ばされてペース崩されるのも嫌なので基本的に峠は前にでるのですが、ゆっくりとした速度でも後ろに引かれるレベル。じわじわ消耗しながらも登りきり、渓谷へ。方角がかわってないのでもちろん向かい風です。 途中の道の駅でトイレを挟みつつこれまた6人で進んでいきます。いろいろ指示はしてきましたが、皆さんやりたいことがわかってきたらしく、しっかり従ってくれます。33号に続き、32号も昼間に来ると素晴らしい景色であり、特に大歩危、小歩危は有名な観光地になってます。しかし、夜なので何も見えません。これまた経験のない人にはトラウマレベルです。
向かい風で消耗したのもあり、途中のmont-bellストアが隣接してるコンビニへ。
疲れる前に休憩。鉄則です。この後の道は疲労状態が巡行速度に大きく影響してきます。このコンビニはこのあたりでは貴重な人の気配が感じられる場所です。 ここまで来るとちょうど中間地点なのであり、日が登り始めるのですが、今回はまだ真夜中。驚異的なペースで来ているのをかんじます。 程なくして出発。香川を目指します。少しずつ日も登りはじめ、建物も増えてきます。夜明けが近づくにつれ、気分も晴れていきます。もしかしたらVルートで一番好きなのはこのタイミングなのかもしれない……。
明けの明星を拝みながら猪鼻峠へ。
向かい風でしたが、自分が先頭に出てペースをコントロール。山頂につく頃にはしっかり日も登ってました。
そのまま惰性でチェックポイントである善通寺のファミリーマートへ。
この時点で後方とは一時間以上の差でした。高知からここまで向かい風区間だったので、メンバーも疲労していました。ここで離脱して、後ろを待とうものなら一時間+後方集団の休憩を待つことになるのでさすがに長すぎる。ここまで来たら後戻りはできません。 (わりとはじめの方から、あなたについていきます!という状態なのでもはや迷うまでもないのですが。) 少し長めの休憩をとり、第2集団がつく前に出発。

いよいよ走りなれた11号線。
しかし、信号が多いです。あーだこーだ文句を言いながら四国中央市の登りに入ります。登りと言ってもアップダウンを繰り返しながらゆっっっっくり登っていくもので、おまけに道も悪く、狭く、車も多い。最も好きではないポイントです。個人的にさらに文句をこの登りに対していいながら新居浜へ。 ゴールまで残り60km地点。道の悪さと車通り、信号などによりさすがに疲労。お尻や間接の痛みを訴え始めるように。ただ、完全なるダメージコントロールによりメンバーの脚自体は元気な模様。コンビニで休憩をとりましたが、短時間でかなり回復。
あと少しだとお互いを励ましながら最終チェックポイントのりんりんパークへ。
もうほとんど距離がないということで、余裕のある日とは余っている脚を解放気味に。とくに、愛媛大学のかわいくんはりんりんパークまで残り10km以上前から男引き。追い風の助けを受けながら一気に進んでいきます。
ちょうどそのころ、時計を見ながら思うことがありました。
「15時間切り行けるんじゃないか……?」
当初の目標であった15時間切りが現実味をおびてきました。しかし、もはや休憩をとっている暇はありません。 りんりんパーク直前で走りながらあらゆる補給を済ませ、りんりんパークではゼリー飲料をかきこんで速攻出発しました。 残念ながら、この事はメンバーには詳しく話してなく、あっという間に出発していく姿に「?」という雰囲気。もはや言い訳でしかないのですが、目標達成しか頭になく、また、走れるやつは勝手に来るだろうと考えたのです。(先ほど書いたように休憩を待ってる時間はないです。) すると、案の定、松山大学のおーおかくんがついてきました。 こっからは出し惜しみなしの全力です。

その時使える限りの力で桜三里を登りました。おーおかくんは後ろを着いていきます。登りきったあと、下りを手伝ってもらおうとしたら足がつってしまった模様。仕方なく一人でいく……と思ったら長い信号待ちをしてたら追い付いてきました。少し引いて、交代。ラストスパートです。
ゴール少し前で自分に先頭を交代し、松山市街地をひたすら走ります。タイムはギリギリ、果たしてどうなるのか。


最後全力を振り絞ってゴール。 4年連続1位達成(おーおかくんと同着)、14時間58分で15時間切りも達成です。 残りの先頭集団メンバーも8分後にゴール。12時過ぎにはゴールしてるという驚異的なスピードです。 ここまで、最低限の休憩のみで頑張ってきたメンバー。ようやくゆっくり休めます。 今回共に走った先頭集団の彼ら、まさに最高のメンバーでした。こちらの指示によって早く走れるように調整はしました。逆に、彼らによって時間短縮の援助をしてもらうことも多くありました。彼らなしでは今回のタイムが達成できなかったのは紛れもない事実です。 第2集団とは2時間差。先頭がゴールした時点でまだ新居浜か四国中央市の登りにいる計算。まさに、驚異的なスピードで駆け抜けました。
以下雑記(ここまでもここからも自己満足)
(1)時間短縮
今回の時間短縮、わかる人はわかるとおもいますが、巡行速度の上昇よりも休憩時間の短縮で成り立っているのです。巡行速度を1km/hあげるとかなりきつくなりますが、一時間で2分程度の差しか出ないのです。 それならどうやって休憩時間を短縮したのか。ただ早く休憩を切り上げるのではいけません。後半でダレます。大事なのは「常に元気な状態」で走る。パフォーマンスの維持を最優先にしています。そのために大事なこと、何度も書いてますが、「疲れる前に休憩」です。すぐに回復できる程度の疲れであれば、色々準備しているうちに回復が終わります。
(2)過去最速タイム
タイムトライアルをするうえで意識しなければならないのは最速記録。愛大サイクリング部の部誌が出どころと思われますが、なんと12時間。朝10時にはゴールしている計算です。にわかに信じがたい記録です。休憩なしで行けば可能、昔はコースが違ったなどいろいろ憶測がありますがちょっと考えてみましょう。
a.本当説
今回の走行時間はサイコン計測で12時間半。休憩せずに少し速度を上げれば可能ではあります。ではどのくらいの実力が必要か。360kmを12時間なので、24時間走れば700km近く走ることができます。ネットで有名な超ロングライドのひとつの指針に東京大阪キャノンボールがあります。その最速記録がとある有名なお方の調査(ググって)によると560km、19時間45分。信号の数がこちらの方が圧倒的に少ないので単純比較できませんが、360kmを12.76時間で走っています。キャノボの経験がないため、適当な数字しかでませんが、信号が少ないことを考慮して、キャノンボールを21時間で達成できる方ならVルート12時間も可能であると考えます。ちなみに、このタイムで走った方は、当時の日本最強クラスということです。今回のように複数人で走ればさらに可能性は上がりますが、それでもキャノンボールを普通に達成できる人間をそれなりにそろえる必要があるでしょう。
b.ちょっと違う説
そもそもルートが違うという可能性。どのルートがあり得るかといわれるとちょっと回答にこまってしまいますね。ほかに、「12時到着」を「12時間で走った」と間違えた説。今回とほぼ同タイムですね。
走行時間のみ加算した説。「休憩なしで走った」という補足情報がありますが、「休憩した時間なしで」と伝わったらこうなりますね。今回よりもちょっと早いタイムになります。
上記のようにあーだこーだ書いてきましたが、とにかく過去の自分に圧倒的な差で勝つという目標は達成。自分は大学院に進学するので来年のVルートにもかかわることができますが、走ろうか、サポートにまわるか・・・。今回のことで来年の皆さんの走り方が変わったらおもしろいですね。ノウハウもここで公開しているのでさらに早いタイムが出るかも・・・・。
最後に、2,3回生でやった1位を取るだけの走りというのは「かなり余裕をもたせて走って、最後についてきたやつを桜三里でコテンパンにする」です。簡単でしょう?
かなり長文でしたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。

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