ツール・ド・おきなわ 2018 市民210km レース前編~先頭集団~
- 森
- 2018年11月19日
- 読了時間: 8分
ツール・ド・おきなわ 2018 市民210km レース前編です。
スタートから先頭集団から離脱するまでのレポートになってます。
ネット中継も行われる先頭集団。しかしそれは手段先頭付近の話。集団中ほどから後方までどんな様子なのかをレポートしていきます。
三部作の中編になってます。 前日~スタート前からの続きです。
レース中にカメラを持ち歩くわけにはいけないので文章がメインです・・・。

今回はとにかく完走が目的です。
国内最高峰の市民レーサー(プロに片足突っ込んでいる)の狂演に最後まで耐えるのは現状の実力では不可能です。最低条件として一回目の与那の登り前(70km)までの平坦路は先頭集団で耐えること。それ以降は適当なタイミングで先頭集団から離脱します。適当な、と言っていますがこれが今回最も重要な要素です。タイミングが遅れると、消耗が激しく、ほとんど走れなくなります。逆に早すぎると、完走できるか微妙な集団に属する可能性が高くなります。
ではミッション開始。
7時27分、定刻通りスタートです。
参加者400名あまり、三車線いっぱいに広がっても集団は長いです。徐々に加速しながら市街地を抜けていきます。
市街地を抜けたら海沿いへ。気持ちのいい海岸線が迎えてくれます。この海岸線ゾーンが多いのは210kmの魅力のひとつですね(他はどちらかといえば山が多い)。はじめなので先頭のみなさんは元気いっぱい。ちょっと追い風(だぶん)。ここでサイコンをみて見ると・・・
50 km/hオーバー・・・
なるほど!プロレースとかこんな感じなんだね!テンション上がるよ!
ここで実感するのは「おきなわにおいて機材を妥協すべからず」。まず50 km/hで巡行してるもんなんだからホイールの空力の差がえげつない。空力の力によって消耗を少しでも抑えなければならない。そして自分より実力が上の強者が多く集まっている。そして彼らはもれなく最新鋭のハイエンド機材を使う。妥協していい理由が見つかりません。高級機材を使うのがアドバンテージなのでなく、
なんで高級機材使って自分の能力を最大限発揮しないの?
と逆に問われるような状態。みんな本気なんです。

まじ狂ってるぜー―――と集団後方でめちゃめちゃテンション上がっているなか、後から知った話では集団前方では逃げが発生していた模様。(某シクロワイアードレースレポートより)
にげる・・・?この集団から・・・?
いつもの3,40 kmのレースなら理解が追いつきます。210kmあるこのレースでこのペースを5人でまわす?????こちらは集団にいるだけでじわじわ削られているのですが・・・。
この文章を書いてるときでさえ理解が追いつきません。市民とはなにか疑問に思います。ちなみにこの逃げは二回目の与那の坂(120 km)まで続いたそうです。
一般市民の話に戻ります。
集団の人数が多く、前方に行くほど密度が濃くなっていきます。また、速度が速いため、前に出るのにかなり脚を使います。そのまえに、選手の壁で前に行くことは不可能なのですが・・・。
さらに、十分に道を把握しきれないため、落車が多く発生しました。かなりの速度域なので、重大事故になりやすいです。(実際、かなり危険な状態になっている方もいました。大丈夫だったのだろうか・・・。)
集団後方なのでストップを食らうことは多々ありましたが、幸い、巻き込まれることはありませんでした。しかし、集団が千切れかけるため、急いで復帰しなければなりません。先頭は50 km/h近くの速度で先行。これに追いつくにはそれなりに足を使います。
とはいえ落車の話を一切抜きにすると、平坦路をこの速度で巡行するのはかなりきもちいものです。来た甲斐がありました。
およそ20km地点。スプリントポイント・・・もありますが絡むのは現状では不可能です。じゃ何があるかって、沖縄の有名な観光名所のひとつ、美ら海水族館です!前を通過するだけですが。
このあたりになると、スプリントに関係ない有力選手が後ろに下がってきたりします。あぁ、あれがあの有名なあの人なのか・・・と勝手に思っていました。
今年もレース以外の観光成分が一切ないのでこういうところで拾っていかなければならないんです。
ちなみに、愛媛の二人は後の日に行ったとか・・・。
高速集団でじわじわ脚を削られながらやってきた50 km地点。左側海、右側崖という何もない場所。ここで集団のベースが一気に落ちます。
そう、トイレタイムです。
毎年この位置でしているとかなんとか。210kmあるレースでトイレタイム無しは無理です(140kmはなんとかもつ)。2,30人以上の選手が一旦停止して軽量化。自分もこの期を逃すまいと軽量化。軽量化したメンバーで集団を追いかけます。
集団自体は30km/hで走ってますが、一刻も早く追いつくため、追走はなんだかんだ50km/hくらい出してました。
軽量化したんだからそれくらい余裕だろう…?
集団に復帰したら一回の与那の登りに備えます。今回あたらしく導入した「えねもち」を2つたべで準備万端。少しでも集団前方へ行くようにしつつ回復に努めます。
スタートから67km/h地点、140kmクラスのスタート地点にて大きな落車発生。140kmクラスの待機位置のために片側一車線に制限される場所であり、進路が塞がれてしまいます。これもなんとか巻き込まれずに済みましたが、この位置で止められるのはかなりいたい状況。この直後に勝負どころのひとつである与那の登りがあるため、集団が活性化、復帰にかなり足を使われてしまいました。
71km地点、与那の登りです。
先頭のみなさんにとっても勝負どころのひとつですが自分にとっても勝負所です。与那の登りは330 m、平均6-7%程度のコース内で最も長い登りです。ここまで走ってきて初のまともな登りであるため、ここで選手の選別が行われます。
この傾向は他クラスでも同様であると考えられ、この登りをどの位置で突破するかがゴール時の順位に直結してくると思われます。
さらに、後の区間では先頭集団に所属しているかどうかで巡航速度が大きく違い、この登りの前半で集団から離脱してしまうと、完走が危うくなってしまいます。
以上のことを踏まえ、何としても先頭集団にとどまることを決意。
下がっていく人をかわしながら登ります。集団はHCレースよりもちょっとおそいくらいのペース(先頭にとっては楽なペース。たぶん。)。着いていけなくはないがかなり脚を削られます。また、先ほどの復帰のダメージもあります。かなりキツイ状態。
このとき、先頭は森本選手が先行していたらしいです。石鎚HCで招待選手としていらっしゃっていましたが、確かに平坦区間で50km/h出していました。あれは伏線だったのか・・・。
頂上付近で集団がかなり細切れになってしまい、先頭集団にぞくしているとは言いにくい状態に。そのまま周囲の選手とともに下りに入ります。
70km/hを超えるダウンヒルののち、普久川の補給ポイント(80km地点)にたどり着きます。ここまでほとんど水分を取っていませんでした。とりあえす、水の入ったマイボトルをがぶ飲み、投げ捨てて、水の入ったボトルを新たに受け取ります。
少し走ると目の前に先頭集団の姿が。集団でのダウンヒル、補給などで速度を落としていたのでしょうか、真相はわかりませんが、すぐさま合流します。コーナーや小さいアップダウンがおおいこのあたりは集団の速度が落ち着いていました。人数もかなり少なくなり、のんびりした雰囲気。「あいつ、まだ残ってる?」などの会話がちらほら聞こえます。
緩やかな雰囲気に対して、こちらは先ほどの登り下りでかなり脚がけずられた状態。くわえて、熱さが襲い掛かってきます。この時期、日中20℃以下でも半袖ジャージで練習していたため、暑さ耐性というよりは寒さ耐性が付き始めている状態。ここでこの日の最高気温は29℃。さらにさらに、トイレを可能な限り無くすため、水分補給を抑えてました。熱中症の症状が見え隠れします。
直前の登りで削られながら迎えた100km地点。スプリントポイントであり、100kmカテゴリーのスタート地点です。スタート前に愛媛の二人になんだかんだ先頭集団に残っていることをアピールしようとしましたが、お互い視認できず。奥の登りに突入します。
奥の登り200mアップですが、100mアップと勘違いしての突入。精神的なペース配分のミスが発生。有力選手がここで軽量化していましたが、彼らが抜けている間は集団が少しゆっくりに。しかし、この疲労した体には堪えます。
有力選手の合流後(というか、なんなく合流できる体力があるのか・・・凄まじい・・・。)集団は少しペースアップ。おそらく、逃げを捕まえ始めようとしていたのでしょう。ほぼ集団最後尾になってしまいましたが、なんとか食らいつき、突破します。
およそ110km地点、ここから与那の登りまでしばらく海沿いの平坦。50km/h巡行再開です。集団が150名以下となり、コンパクトになったため、先頭の様子が少しわかります。サポートバイクが逃げとのタイム差を示した黒板を振っており、大変そうだなーと他人事。そう、この時点で体力ゲージは赤色手前のオレンジ色に。集団についていくのが限界でした。去年だとこの辺最高にテンション高かったですけど今年は逆ですね。
そんななか、与那の登りはじめ(122km地点)にたどり着きます。この少し前で逃げは吸収されたみたいですね。少し登ってみて「元気ならば」ついていけそうなペース。しかし、体力は限界、離脱を決意。じゃ、元気だったらついていったのかというと、それはほとんどないでしょう。先頭集団はここから先活性化し、ガチバトルの狂演が始まります。また。長い登りが連続し、純粋なクライマーでない私は(クライマーだからいいというわけでもない)スタート直後のような万全の状態であってもついていくのは難しいでしょう。潔くあきらめ、速度を落とし、先頭集団を見送ります。
半分と少し過ぎたところで集団から離脱。想定より長く先頭集団に追いていくことができました。
しかし、体力はすでに限界、熱中症の症状もあります。ここからは己との闘い。
レース後編に続きます!
Comments