ツール・ド・おきなわ2017 レース本編
- 森
- 2017年11月26日
- 読了時間: 11分
ツール・ド・おきなわレース本編です。
今回はめちゃめちゃ長いです。140km分ですからね。完走のコツ、Q&Aは最後にあるので、時間の無い方は最後へGO!

時間のある方はレースの様子をじっくり見ていきましょう。
前回のあらすじ!高級機材祭り!サイコンかない!携帯もないから写真がない!
それではスタート!
スタートは案外あっさりしています。あれ?もうスタートしたの?という感じ。210kmの選手が抜くための車線規制もすぐに解除され、道交法の無い、レースのための道が完成します。 基本的に走り込んでいる参加者が多いため、声かけなどもしっかりしていました。減速時などは声かけのウェーブが発生します。
少しの平坦の後、すぐに最初の山岳に入ります。山岳といっても標高300m、急勾配も少なく、まだまだ序盤なのでそんなにきつくないはず……と思っていた時期がありました。 登りに入った瞬間からハイペースに。HCレースほどではないですが、完全に集団をふるいにかけてます。先頭は名の知れたクライマーの方が引いていたとか……。スタートから10kmしないうちにどんどん回りの選手が遅れていきます。それを交わしながら前に行きますが、加速し続ける先頭集団。500mlのボトルを2本積んでいたのですが、さすがに重さを感じました。回りの選手がかなり減ったところで先頭に追い付くのを断念。この振り落としにより順位がある程度確定する流れになりました。
先頭に追い付くのを断念したところで、少し前に10人程度の集団が形成されてました。せめてこれには追い付きたいと下りで加速。二車線丸々使うことができ、さらに路面もきれいなため、タイヤ、技術の限界まで攻めることができます。60km/h以上(サイコンついてないので体感でで)はざらです。あまり使わないだろうと思っていた52-11のギアをガンガン使っていきます。 回りの数人とも協力して前をおいかけますが、中切れがおきたり、先頭の速度がいまいちだったりで上手く追い付きません。仕方なく、単独で追いかけることになりましたが、集団対個人では個人の体力消耗が激しく、まだ130kmもあるのでこの日2度目の断念。完全に周囲に人がいなくなったのでひとりで次の丘を登ります。
丘の頂上の普久川ダムはボトルの補給を受けることができますが、一回目の通過ではほとんどボトルに手をつけてないのでスルー。そもそも、210kmの選手向けなので受けとる必要はないですね。
ちょっとしたアップダウンを繰り返しつつ海が見え始めたと思ったら後ろから結構な速度の集団が。登りで遅れて平坦、下りで取り返すタイプの集団のようです。迷うまでもなく集団に合流。単独で走り、脚がつりかけていたので、補給をとりつつ休憩。しばしの安息を得ます。 「平坦、下りで取り返す集団」と言ったのはまさにその通りだからであり、追い風も相まって平坦では45km/h以上もの速さ(サイコンないから体感)で駆け抜けていきます。この速度域になっていくとさすがにエアロパーツの効果を無視できなくなりますね。戦に臨むサイクリストにとって空力は神聖不可侵の要素。古事記にもかかれている。
奥の登りを越え、ここから二回目の山岳まで海沿いド平坦、追い風。しかも「わかっている」集団。さらには公道封鎖。ここまで気持ちのよい条件が揃ったことはあったのでしょうか。ここぞとばかりにI feel aerodynamics.......しました。控えめに言って最高でした。少し曇っていましたが、景色も文句なし。まさに楽園です。(レース中) 途中で100kmカテゴリーのスタート地点を通りすぎましたが、すでにスタートしたあとのようでした。ゆっくりと走っている100kmカテゴリーの後方集団を抜いていきます。
しばらくすると二回目の山岳へ。一回目と重複する区間です。ここで集団はバラバラに。集団で山が得意です!!と大声で言える状態選手がいないためかなりゆっくりとしたペース。まだまだ90kmもあるため完全に温存モード。登りに入るときにすこし気を抜いていたので自分の所属していた集団の選手がどこにいるのか探しながら100kmの遅れている選手を抜いていきます。後で考えてみれば自分がほとんど一番前にいたようで……。 山頂にたどり着き、下りへ。回りはかなり疲弊しており、下りで速度が出ない様子。単独で飛ばしていく……と思いきや自分自身もかなり疲労した状態であることに気づきます。前半張り切りすぎたかな……?とか思っている場合ではなく、まだまだ80kmもあります。
二回目の普久川ダム、補給ポイントです。ここまで気温が高くなかったため、ボトルの中身もいっぱい。しかし、記念として補給ボトルが欲しかったのです。ボトルを投げ捨てるなんて滅多にできませんけど、たまにやる分には爽快でした。水の入ったボトルを受けとりました。
まだまだアップダウンが続きます。というか、最後までアップダウンでした。ボトルを無事受け取ったはいいものの、回りに人がいない状態。正しくは、人はいても走力が合わない状態。ここがツールドおきなわにおいて最も辛い時間でした。疲れからか、登りでは失速し、下りは上手く速度が出ない。
順位を良くするのを諦めるべきかと思っていた矢先、後ろから集団が。さっきまで所属していた集団のようです。平坦、下りで追い上げたようです。これまた迷うこともなく合流。お互い名前も知らぬ間柄でしたが、前半を共に駆け抜けた仲間(?)みたいなもの。実家のような安心感です。 合流して残り70km。下り、平坦はいいものの、登りは疲れからか、ついていくのがかなり辛くなってきます。しかし、この集団を逃したらこの後どうなるかわかりません。ついていくしかないのです。ここまでの練習、かかった費用を思いだし、ここで諦めることはあってはならないと強く思いました。 まだまだ続くアップダウン。ここまでフロントの変速を使ったレースがあったでしょうか。
残り50km程度。少しずつ回復をしてきましたが、先頭付近を維持しましたが、ローテーションにはなるべく避けている状態。このあたりから、ゆっくり前を走る100kmカテゴリーの大きめな集団を吸収していき、どんどんこの集団が大きくなっていきます。はじめは15人程度だったのになぁ……と感慨深くなります。(なお、先頭を引くメンバーは最初と変わらない模様)
残り30km、慶佐次の補給。スポーツドリンクが入ったボトルを受けとります。補給ボトル2色コンプリートです。これより前から先頭のローテーションに加わりました。引いてもらった恩を出来る限り返せるように。 下りで先頭を引いていると100kmカテゴリーに参加していたかわいくんを発見。抜かし際に声をかけました。この距離ならお互い完走はなんとかなりそうです。
残り10km強あたり、どの地点かははかなりあいまいですが、片側規制になりました。大集団に成長していた我が集団。片側規制になったおかげで先頭交代が行うことができなくなり、サイクリングペースに。これを利用して回復します。 このときはもはや先頭とのタイム差なぞ気にしていませんでしたが、差がついた要因のひとつにこのスローペースが入りますね。
10kmを切り、この集団内でのゴールまでの争いが始まります。カテゴリーなんて関係ありません。誰もがこの集団で一位をとることを目指します。 まず振り落としが始まったのは標高100m(たぶん)の丘。比較的山が得意な選手がペースをあげ、後ろを振り落とします。自分もここまできて振り落とされるわけには行かないので何時でも先頭を狙える位置を維持します。名護が近づいてきたおかげか、ギャラリーが増え、路面に応援メッセージがありました。(ジャージ着て自転車乗ってる方が多かったですが早朝に終わる50kmか前日のサイクリング部門の方なのか……)
若干先頭から遅れつつも下りを利用して先頭に追い付きます。ここからはようやく平坦口調に。ゴール前に備えます。
ゴールまで残り6,7km。ラストスパート。集団のペースも上がります。道も広くなり、なんと3車線も使えます。でも、左側走行が染み付いてるのか、左によります。先頭のローテーションも早くなります。残るはゴールスプリントのみ。完走だけならここで後ろに下がっても問題ないですが、あとでリザルト見たときに後ろに下がったことを後悔するだろうと思いました。よって、スプリントの体勢を整えることにしました。
ゴール前3km。名護市街地。集団のペースは上がり続けます。集団に残ってる誰もがこの集団で最初にゴール直前まですることを狙ってます。ここで考えるのはいつ仕掛けるか。集団とともにゴール直前までごりごり戦うのもひとつの方法ですが、スプリンターではなく、直前の位置どりに左右されるリスクもあるため現実的ではありませんでした。そこでとる方法が巡行力を生かした早駆け。ならいつ仕掛けるか。仕掛けられるのは一度のみ。己の脚と相談し、もっとも強く長く戦える距離を探します。
2km.....1km.....と看板が見え、まだ...まだ...と耐えます。 緩いコーナーを抜け、ゴールゲートが見えた瞬間、「今だ!」と抜け出しました。大きく右側に行き、そのまま加速。追撃はなし。そのあとに見えた看板は500mを示していました。 その後、後ろもスプリントに入ったようですが、そのまま逃げ切ることができました。
ようやくゴールです。
別にここで集団で最初にゴールしても表彰があるわけでもないですし、順位的に来年のシード権が手に入るわけでもありません。ただの自己満足です。趣味なんですから。 ゴールゲートをくぐったあと、一回目の山岳以降、ともに集団をコントロールしてきた方々と「お疲れ様でした。」と挨拶し、各々会場に消えていきました。

無料で配られてる水を飲みつつ、途中で抜かしたかわいくんを待ちます。大きく距離が離れていたわけではないため、すぐ合流することができました。彼も完走できたようです。

レースは以上ですが、ここからも大変。強い向かい風のなか、車のある国頭まで30kmを自走でもどり、車に自転車を積むついでに梱包し、那覇市内まで運転(自走時に引いてあげたのでかわいくんが運転してくれました)。ドタバタ、ホテルについたのは19時半。 軽い打ち上げついでに夕飯を食べ、寝たのは22時。

かなり疲れていたので快眠でした。


翌朝、せめてもの観光をと国際通りに行くも店がまだ開いておらず、通り過ぎる程度。


レンタカーを返し空港へ。 空港へつくと、ブリジストンアンカーの方々が。手荷物検査など一緒にうけました。ちなみに、預け荷物は自転車専用レーンがありました。 那覇空港でかわいくんと別れ、高松へ帰還。充実した旅でした。観光してないけど。

まとめ
基本的にこのレースにおいて、その時々の最善を尽くすことができたので悔いはないです。
ただ、サイコンがなかったのはじわじわと効いていましたね。標高がわかるタイプなので登りの終わりまでのだいたいの距離がわかります。序盤に欲しかったかな・・・。
ツール・ド・おきなわ事態は非常に素晴らしいものでした。公道自由にを走れる解放感だけでなく、見ず知らずの地元の方々が応援してくださるのもとても励みになりました。また、ただ力で押さえつけるのではない、しっかりとした戦略を求められるのも滅多にない経験でした。完全におきなわの虜になってしまったので、来年出場できるように環境づくりに努めたいですね。(資金、研究室、練習・・・)
Q&Aレース編
どんな感じでレースしたのか、完走するにはどんなことに気を付けたらいいかなど
Q1. 完走するにはどんなことに気を付けたら?
A1. 完走目的であることを前提に話を進めます。何所を何分で登る、FTPいくつといった議論はよくされてるので割愛。100km、140kmカテゴリーともに完走率は50%程度ですが、その原因は関門時間の厳しさにあります。おおよそ先頭集団から1時間以内にフィニッシュしなければなりません。交通規制の関係上仕方ないでしょう。一般的なサイクリングイベントでは制限時間が十分にあり、制限時間間際では人はまばらになり、危機が近づいていることがわかります。しかし、おきなわは完走は半分のみ。つまり、まわりにたくさん人がいると思って安心していると、そのまわりの人といっしょに時間オーバーしてしまう可能性があるのです。よって、最も大事なのは完走目的でも順位は気にする、です。少しでも速い集団に乗り、一人でも多く抜く。それでも完走できなかったら、来年に期待しましょう。あと、当たり前ですが、前半で出し切らないように、ペース配分はしっかりしましょう。
ちなみに、制限時間をオーバーしても、自走可能である限りは自力でフニッシュ地点である名護に自力で帰ってこなければなりません。カテゴリー選択は慎重に。昨年のリザルトの完走ラインの平均速度を参考にしましょう。
Q2. 補給食はどれだけ持った?
A2. Power Gelのゼリーを10個、同バーを2本。実際に使ったのはゼリー8個とバー1本。距離は長いですが、レースなのでいつものライドよりは早く終わるため、基礎代謝分の補給は減らせます。また、あまりパワーバーを食べる余裕はなかったので、おおよそゼリーだけで行けると思います。あと、前日夕飯、当日朝飯はたくさん食べました。
Q3. 現地の気温、服装は?
A3. 本土の9月くらいな感じなので、レース中は半袖ジャージで十分です。ただ、早朝であるスタート前は一枚上着があった方がいいかもしれません。なくても耐えられますが。
Q4. レース中のトイレは?
A4. トップでも4時間近くなる140kmですが、レース中は気にする余裕はなかったくらいには大丈夫でした。人によりますが直前にトイレに行くことができれば、問題ないと思います。あと、カフェイン入りの補給食は避けるべきでしょう。
Q5. どんな練習したの?
A5. 沖縄を模したコースをひたすら走ってました。「こんな登りばっかなわけwww」と思っていたら実際登りばかりでした。最後まで登りでも戦うことが求められます。
Q6. 空力は大事?
A6. 速さを求める上では空気抵抗の問題は必ず付きまといます。空力を求めましょう。
以上です!ありがとうございました!
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